隠れ良盤コレクション#2 『Source Tags & Codes』/…And You Will Know Us By The Trail Of Dead(2002)

CDプレーヤー 音楽

このコーナーでは、「ファンは当然知ってるんだけど、世間にはあまり広く知られていない」という、隠れた良盤・名盤を紹介していきます。完全に僕の独断でセレクトしますが、決して聴いて損はないアルバムを紹介しますので、どうぞ宜しくお付き合い下さい。

2枚目に選んだCDは、2002年にリリースされた…And You Will Know Us By The Trail Of Deadの3rdアルバム、『Source Tags & Codes』です。

…And You Will Know Us By The Trail Of Deadとは

…And You Will Know Us By The Trail Of Deadは、1994 年にテキサス州オースティンで結成されたアメリカのロックバンドです。若い頃からの友人であったジェイソン・リースとコンラッド・キーリーがデュオとして活動を始め、その後4人組のバンド形態となり、以降もリースとキーリーを主要メンバーとしてその他のメンバーが入れ替わりつつ、現在に至っています。(現在は6人組の模様)

バンドのサウンドは、ジャンルとしてはエモーショナル・ハードコアやポスト・ハードロックに位置付けられますが、バンド名の異様な長さからもわかる通り彼らの音楽は一筋縄ではいかず、オルタナ、プログレ、サイケ等の要素も多分に取り込まれています。激しくワイルドな演奏が特徴的なのですが、時に美しさを感じさせる曲や、不安を煽るような、不穏な空気感を放つ曲などがあり、感情を直線的に揺さぶり続け、安定することを許さない力を持つ不思議なサウンドを奏でるバンドです。

リースとキーリーの2人は、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを交互に担当し、また、キーリーはビジュアルアーティストとしての活動も盛んであり、彼らのアルバムのアートワークの殆どは彼が手掛けています。(これがまた、凄くいいです)

彼らは高校時代よりマヤ文明にまつわる相次ぐ発見に影響を受け、考古学や人類学に興味を持ったと語っており、長いバンド名の由来についても、「考古学や人類学を研究し、バンド名はマヤ文明に伝わる詠唱儀式からとられた」と過去のインタビューで述べています。斬新な音楽性も相まってこのエピソードはかなりの説得力がありましたが、後にこれらはホラだったと彼らは語っています(笑)

まさに、何から何まで異端的で独特なバンドです。

アルバムについて

『Source Tags & Codes』は、セルフタイトルの1stアルバム、2nd『Madonnna』に次ぐ3rdアルバムであり、彼らがメジャーレーベルから出した初のアルバムです。ロックンロールリバイバルブーム真っ最中の2002年にリリースされ、彼らの最高傑作と評されています。前作の『Madonnna』がオルタナファンから高い評価を受け、音楽シーンに名を轟かせた彼らが満を持して発表したこのアルバムは、全米の音楽誌から大絶賛されたそうです。それもそのはず、このアルバム、本当に素晴らしいのです。アメリカの音楽メディアPitchforkのレビューの言葉を借りると、「濃密で、美しく、複雑で、心をかき乱す、爆発的で、危険な……ロック・ミュージックがそうであることを切望するすべてが詰まっている」アルバムだとまさに思います。

1曲目の”It Was There That I Saw You”から、いきなり激しいシンバルの連打で心を揺さぶられたかと思えば、急に静かなになり、同じメロディーのアルペジオがしばらく繰り返され、また序盤のテーマに戻って激しくなる訳なのですが、この時点でこのアルバムはただものではないという気がします。ここから、エモーショナルな激しい曲が”Another Morning Stoner”、”Baudelaire”、”Homage”と続き、もうこの時点で僕たちリスナーは完全にアルバムに呑みこまれ、虜になります。その後、中盤になるとアルバムは一旦落ち着きを見せ、やや気が鎮まる曲が続くのですが、なんだか不気味で得体の知れない不安な気持ちには包まれたままです。そして8曲目の”Days Of Being Wild”でまた目を覚まされ、アグレッシブなボーカル、ギター、ベース、ドラムの音に僕たちはやられてしまいます。そして続く”Relative Ways”のどこか哀し気で高揚感と絶望感を同時に感じさせるような旋律と、泣き叫ぶようなキーリーのボーカルで歌われる”いいんだ 僕は聖者だ 赦そう 君の過ちを”という言葉に魂を鷲掴みされ、ヘナヘナの状態で最後の曲”Source Tags & Codes”を聴き、脱力状態に陥るのです。

“Another Morning Stoner” —Youtube公式チャンネル より
“Relative Ways”—Youtube公式チャンネルより

このアルバム、金と時間を相当つぎ込んだのかわかりませんが、サウンドに厚みがあり、ストリングス等のアレンジや音の細部にも力を入れているのが聴いていて伝わってきます。ワイルドでエモーショナルでありながら、非常にシュッとした作品という印象です。そしてこのアルバムで僕が最も優れていると思うのが、「緩急」の付け方が非常に巧いという点です。アルバム全体でも曲単位でもそうなのですが、ずっと激しいノリで突き通すのではなく、所々で感情を抑え、音も控えめになり、その塩梅が絶妙だと感じます。だからこそ僕たちは全体を通して飽きることなく、常にドキドキし、感情を揺さぶられたまま彼らの音楽を楽しむことができるのだと思います。

思い出

…And You Will Know Us By The Trail Of Deadを知ったのは僕が高校生の時でした。彼らはサマーソニック2001に出演しており、その特集番組を観て気になったのがきっかけだったと記憶しています。洋楽好きの友人が1stアルバムを持っていたため、借りて聴き、そこからハマりました。純粋に、もの凄くカッコイイ!と思いました。

今でもよく覚えているエピソードがあります。大学生になり、この1stアルバムを貸してくれた友人のアパートに泊まりに行った際、「これまで聴いたロックの曲でどれが一番最高にかっこいいか」という話になりました。深夜1時頃です。この時僕たちはいろんな名曲を挙げていったのですが、僕がトレイルオブデッドの”Baudelaire”じゃないか、と言って、じゃあ改めて聴いてみよう、ということになり、CDコンポで”Baudelaire”を聴きました。その時聴いたボードレールはかつてないほど最高にかっこよく思えたのですが、友人も全く同じように感じていたらしく、「これやな…非の打ち所がない…」という結論に達しました。

あれから20年以上の年月が過ぎましたが、今でもこのアルバムはよく聴いています。大好きなアルバムです。あと、トレイルオブデッドはまったく華がなくて泥臭く、イケメンが一人もいないという点も非常に好感の持てるバンドです。多分、ファンの9割9分は男でしょう(笑)

気になった方は是非アルバムを買って聴いてみて下さい。

決して聴いて損のない良盤です。

筆者プロフィール
この記事を書いた人
しんのG

高校野球を年間60~90試合ほど現地観戦している関西在住の高校野球ファンです。近畿の高校野球の話題を中心に、ライト層からコア層のファンまで楽しめるような有益なブログを目指して投稿していきたいと思います。
また、音楽も好きなので、音楽関連の想いも綴っていきたいと思います。宜しくお願いします。

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