去る1/26、今年のセンバツ(第96回大会)出場校32校が発表されました。僕の予想(こちら)は、一体何校的中していたのでしょうか。早速答え合わせと反省をしていきたいと思います。果たして、意外な選出や逆転選出はあったのでしょうか。選考理由もふまえて順に見ていきましょう。
選考結果
21世紀枠(1/2的中)
21世紀枠は、別海(北海道)、田辺(和歌山)の2校が選出されました。別海は初出場、田辺は76年ぶり3度目のセンバツとなります。
以前から21世紀枠を全校的中させたことがないと言っている僕ですが、今年もやはり1校外しました(笑)。
1校目は、予想通り別海が選出されました。北海道東部に位置する別海は、最低気温0度未満の冬日が年平均で半年以上あり日照時間も短いという厳しい環境の中、農業用のビニールハウスを活用するなどの工夫をして練習しているそうで、その取り組み方、野球に対する姿勢が評価されました。また、部員数も16人と少ない中で北海道大会でベスト4入りし、少数精鋭の実力も評価された上での選出となりました。
2校目は、田辺が選出されました。田辺は、監督がスクールカウンセラーと連携して生徒一人一人との対話を重視し、精神的に細かなフォローをする点がこれからの時代の在り方として評価されました。また、こちらも別海と同じく20人に満たない部員数ながら、県大会で市和歌山、智弁和歌山といった強豪を破り準優勝した点も、戦力的に高い評価を得ました。
僕が田辺と悩んだ末に予想した鶴丸(鹿児島)は、惜しくも補欠校に回りました。
2校の選手の皆さん、おめでとうございます。
北海道(1/1的中)
道大会優勝の北海が順当に選出されました。3年ぶり14度目の出場です。おめでとうございます。
東北(2/3的中)
青森山田(青森:8年ぶり3回目)、八戸学院光星(青森:5年ぶり11回目)、学法石川(福島:33年ぶり4回目)が選出されました。おめでとうございます。
難航すると思われた3枠目は、予想していた一関学院(岩手)ではなく、学法石川でした。学法石川は、やはり秋田、宮城の1位校を破ってベスト4入りした点が評価されたようです。これについての反省は後述します。
関東・東京(5/6的中)
関東から作新学院(栃木:2年連続12回目)、山梨学院(山梨:3年連続7回目)、健大高崎(群馬:2年連続7回目)、常総学院(茨城:3年ぶり11回目)、中央学院(6年ぶり2回目)の5校選出。
東京から関東第一(8年ぶり7回目)の1校選出となりました。
こちらも6枠目の選考が難航すると思われていましたが、「桐光学園(神奈川)優位」という僕を含む多くのファンやメディアの予想に反し、中央学院が選出されました。ただし、驚くような逆転選出ではなく想定の範囲内でしたので、妥当な選考と言えます。中央学院は、粘り強い打線などの総合力が高く評価され、選考の俎上に乗っていた桐光学園や創価(東京)を上回りました。
選手の皆さんおめでとうございます。
東海(3/3的中)
東海地区は、豊川(愛知:10年ぶり2回目)、宇治山田商(三重:16年ぶり2回目)、愛工大名電(愛知:12年ぶり10回目)が予想通り選出されました。おめでとうございます。
結果だけを見れば予想通りの3校が選出されましたが、注目は2枠目と思われていた愛工大名電と、3枠目と思われていた宇治山田商の順位が逆転し、宇治山田商が2枠目とされている点です。これは一昨年までの東海2枠時代に置き換えて単純に考えると、東海大会で準優勝したチームが3番手と評価され、選出されないという「聖隷クリストファーの悲劇」の再来と言える選考です。選考委員会によると、「豊川を相手にした時の比較」として検討した結果このようになったとのことですが、これはある意味、今大会の最もサプライズと言える選考だったと個人的に思います。
北信越+神宮枠(3/3的中)
一般枠で星稜(石川:2年ぶり16回目)、敦賀気比(福井:4年連続11回目)が順当に選出されました。明治神宮枠も、予想通り航空石川(石川:4年ぶり3回目)が選出されました。
今年の元旦に能登半島を襲った震災により、石川の方々は今も苦しみを背負いながら生活されており、県民にとってこの星稜、航空石川の2校の選出は多少なりとも明るいニュースになったことと思います。特に、輪島市に位置する航空石川はまさに被災地であり、野球部は現在、山梨の系列校に練習拠点を移しています。選出決定の報を受け、涙を流す選手も見受けられましたね。大変な状況ではありますが、選手の皆さんの甲子園での勇姿はきっと被災地の人たちを元気づけることができると思いますので、活躍を期待しています。僕も応援します。
選手の皆さん、おめでとうございます。
近畿(6/6的中)
我らが近畿からは、大阪桐蔭(大阪:5年連続15回目)、京都外大西(京都:18年ぶり7回目)、京都国際(京都:3年ぶり2回目)、耐久(和歌山:初出場)、報徳学園(兵庫:2年連続23回目)、近江(滋賀:2年ぶり7回目)が順当に選出されました。
毎年議論に沸く近畿地区の選考ですが、今年はすんなりと決まり、全校的中しました。多分、僕自身初めてのことです。6枠目は履正社ではとの声も一部挙がっていましたが、総合力で近江が上回る評価となりました。
選手の皆さん、おめでとうございます。
中国(2/2的中)
中国からは広陵(広島:3年連続27回目)、創志学園(岡山:7年ぶり4回目)が順当に選出されました。おめでとうございます。
四国(2/2的中)
四国からは高知(高知:3年連続21回目)、阿南光(徳島:32年ぶり2回目)が順当に選出されました。おめでとうございます。
九州(4/4的中)
九州からは熊本国府(熊本:初出場)、明豊(大分:3年ぶり6回目)、神村学園(鹿児島:9年ぶり6回目)、東海大福岡(福岡:7年ぶり3回目)が順当に選出されました。おめでとうございます。
選考についての私見
今回の一般枠の選考では、東北の3枠目と関東・東京の6枠目の予想を外す結果となりました。どちらも五分五分の評価の上での想定内の結果なので妥当な選考と考えますが、ここで、なぜ外したのかという反省をふまえ、僕の個人的な考えを述べたいと思います。
今回の東北では、東北大会ベスト4で敗退した一関学院と学法石川のどちらを選ぶか、という議論になりました。一関学院は岩手県大会優勝者であり、この秋唯一黒星を喫した相手が東北王者の青森山田でした(スコア0-4)。一方の学法石川は福島県大会の準決勝で聖光学院に敗れ、回った三位決定戦に勝利して福島3位として東北大会に臨み、宮城1位の聖和学園や秋田1位の金足農などを破ってベスト4に進出。準決勝では大会準優勝校の八戸学院光星に0-1で敗れました。そして選考の結果、「宮城県と秋田県の1位を破ったことを高く評価した。投手力、打撃力を総合的に判断した」という理由で、学法石川が選出されました。注目はこの選考理由です。「投手力、打撃力を総合的に判断した」とのことですが、両者の東北大会における成績を数字だけを見て比較すると、防御率は一関学院>学法石川、打率は学法石川>一関学院であり、実は両者決め手に欠ける結果となっています。対戦相手がそれぞれ違うため一概に数字だけでは判断できませんが、総合力に差があるようには思えませんでした。つまり、両者は戦力的には互角で、「他県の1位校を二度破った」という印象が学法石川選出の決め手になったのだと考えられます。
そこでまず、今回の東北のようにベスト4敗退の2校を俎上に乗せ、どちらかを選ぶにあたって甲乙つけがたい場合は、どのように選べばいいのでしょうか。ここで、センバツの選考ガイドラインをもう一度おさらいしましょう。
1、秋季大会の試合結果と試合内容を、同程度の割合で総合的に評価する。 |
2、試合内容については、技術面だけでなく、野球に取り組む姿勢なども評価対象とする。 |
3、複数の学校の評価が並んだ場合、できるだけ多くの地域から出場できるよう考慮する。 |
4、府県大会の結果は参考にするが、選考委員が視察する地区大会の内容を優先する。 |
一関学院と学法石川を選考ガイドラインに沿って比較すると、1~3については優劣をつけるのは難しく、4の「地区大会の内容」も互角に思えます。ではどこで差をつけるのかというと、4の「府県大会の結果は参考にする」の部分なのではないでしょうか。ここが今回の選考における僕の最大の疑問点です。
高校野球の全国大会は、トーナメント方式で行われます。つまり、何よりもまず「負けないこと」が最重要です。今回のように、県大会~地区大会を通して一度しか負けていない県1位校と、二度負けたことになる県2・3位校を同列に比較する場合、この「負け数」の差をもっと考慮してもいいのでは、と僕は思います。つまり、戦力に顕著な差がなく、地域性の問題もない場合は、県順位で決めるべき、という意見です。決して学法石川が選ばれたことに文句をつける意図はありませんが、東北大会準決勝で優勝校相手に一度負けただけの一関学院としては、今回は悔しい選考と言えるのではないでしょうか。
ちなみに、負け数で考えると、今回の桐光学園と中央学院にも実は差があります。両校とも県大会優勝校なのですが、桐光学園は無敗で神奈川を制したのに対し、中央学院は千葉の地区代表決定戦で一度四街道に敗れており、敗者復活戦からの県大会制覇を果たしています。今回の中央学院の選出は総合力が評価されての結果なのですが、「負けたら終わり」のトーナメントでの戦いの結果だけを評価した場合、桐光学園に分があったと言えます。
また、「他県の1位校を二度破った」ことを単純に評価しすぎるのも、僕は疑問を感じます。なぜなら、地区大会ではそもそも初戦で1位校同士が当たらないように組まれており、方式上必然的に2・3位校が1位校と対戦する機会が多くなるからです。もちろん、他県の1位校を二度破ることは文句なく素晴らしいことなのですが、そもそものトーナメントのスタート地点で1位校と2・3位校の条件が異なっており、他県の1位校と対戦する機会が全チーム均等というわけではないため、これを選考理由として挙げることには少し違和感があります。
とまあ、相変わらず自分が外した選考についてはどうしても一言何か言いたくなるのですが、僕よりも選考委員の方が試合を観ているはずですし戦力も見極めていると思いますので、ゴチャゴチャ言うのもこのへんでやめにします。(笑)
とにかく、学法石川や中央学院の選手の皆さんには、惜しくも落選したチームの分まで精いっぱい頑張ってほしいと思います。当確おめでとうございます。
まとめ
ということで、今年は3校予想を外し、全32校中29校的中となりました。まずまずの結果ですが、いい加減成し遂げたことのない全校的中を果たしたいところです(笑)。
今年の選考は、去年と同様荒れる要素はなく、順当だったように感じます。常連校とフレッシュな顔ぶれが入り交ざっており、都道府県もまずまずいい感じにバラけているのではないでしょうか。
なお、今年のセンバツは3/8に組み合わせ抽選を行い、3/18に開幕します。ここからはまた戦力分析を行いますので、終了次第投稿したいと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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