こんにちは!
2024年度の春季兵庫県大会が、今年も無事に終了しました。結果は、社が激闘を制し、16年ぶり3回目の優勝を成し遂げました。おめでとうございます!
今大会はどのような大会だったのでしょうか。さっそく振り返り、総括していきたいと思います。
また、夏に向けての展望も考察していきたいと思いますので、どうぞ宜しくお付き合いください。
結果
勝ち上がり表
今大会の勝ち上がりは、下表の通りとなりました。
結果は、優勝=社、準優勝=須磨翔風、3位=明石商、4位=東洋大姫路、となりました。上位3校は5/25より明石トーカロ球場で行われる近畿大会への出場が決定しました。各校の選手の皆さん、おめでとうございます!
総括
今大会は、計13試合を現地観戦しました。
今年の兵庫の春は抽選段階で強豪校が珍しくバランスよく散らばったため、ベスト8には前評判の高いチームが順当に進出してきた印象でした。それにより、ベスト8以降は僅差の好ゲームが続き、ファンにとっても非常に見応えのある大会となりました。
ベスト8に残ったのは私立5校、公立3校となりましたが、この公立3校が1位~3位を独占し、県内の公立勢の強さが如実に表れる結果となりました。大都市圏でこのような結果になるのは、兵庫特有の現象だと思います。
そんな中見事優勝を果たしたのは、近年県内で常に上位の成績を収め、盤石の強さを誇る社でした。昨夏以来となる兵庫制覇です。社はとにかく「負けない野球」をすることに非常に長けており、今大会もクレバーなチームという印象を抱きました。投手力、攻撃力、守備力どれかに特化するというよりは、全てにおいてバランスよく高いレベルを保持しており、総合力という面では県内でもナンバー1なのではと思います。投手陣はエースの福田くんのみならず、笹倉くんや満田くんといった2番手以降の投手も安定した力を見せ、捕手・西垣くんの好リードにより投手陣が崩れることはなく、大量失点をすることはありませんでした。打線も試合中盤から相手バッテリーのクセや傾向を読み取り、狙いを定めて集中打を浴びせて得点に結びつける能力を見せつけました。社の最大の強みは、こうした試合中の対応力、適応力、修正能力にあると僕は思います。対戦相手の分析もしっかり行われている感じがします。また、昨秋やや不安定だった守備も今大会は堅さを見せ、冬の間に鍛えられたことが窺えました。キャプテンのショート・尾崎くんは今大会も華麗な守備が光っていましたね。
1972-74年の東洋大姫路以来の兵庫の夏3連覇という大偉業に向け、視界は良好であると言えます。
準優勝に輝いた須磨翔風は、攻撃陣の打線の繋がりが見事でした。昨秋同様、長打力こそないものの全員がコンパクトなスイングで単打を量産し、機動力も絡めながらチャンスを得点に結びつける能力が非常に高かったです。また、投手陣については、昨秋は大黒柱の槙野遥斗くん一人の活躍で勝ちきっていたのに対し、今大会は常見くん、橋本くん、加登くんといった二番手以降の投手も積極的に起用し、投手陣全体の底上げに成功しました。これは翔風にとっては夏に向けての大きな収穫となり、ライバルチームにとっては脅威となるでしょう。
3位となった明石商は、選手層の厚さを見せつけました。今大会は試合ごとにメンバーや打順を入れ替えながら多くの選手を試していた印象ですが、出てくる投手、野手いずれも能力が高く、狭間監督にとっては良い意味で頭を悩ませる結果となったことでしょう。また、明石商と言えばバントを多用するスモールベースボールの印象が強いですが、今大会は従来であればバントしていたような状況でもヒッティングをさせる場面が見られるなど、攻撃の幅がこれまでよりも広がった印象を受けました。中でもキャプテンの山内くんや播田くん、藤原くんなどは長打力も見せつけ、チームの躍進に大きく貢献していました。夏に向けてメンバーをどう固定していくのか、今後も非常に楽しみなチームです。
注目のセンバツ準優勝校・報徳学園は、ベスト8で東洋大姫路に敗れる結果となりました。今大会は今朝丸くんをスロー調整のためベンチから外し、間木くんも完全に温存するなど、夏を見据えた戦い方をしていました。メンバーもセンバツから若干入れ替え、間木くん・今朝丸くん以外の投手陣を数多く起用し、打順も試合ごとに変動させ、チーム全体の底上げを図っている様子でした。報徳は昨年、一昨年と春の兵庫を制しましたが、今年は夏一本に絞ってこれからピークを持っていくことでしょう。今年の夏は絶対に譲らない、という覚悟が窺えました。
報徳学園を破った東洋大姫路は、下級生主体ながらも非常に力強いチームという印象で、昨秋よりもさらにチームのレベルが上がっているように見受けられました。特に打線に関しては露本くん、見村くん、白鳥くんのクリンナップをはじめとした長打力のある選手を数多く揃え、近年の兵庫野球にはなかなかない迫力を感じることができました。個人的には、大会前から注目していた露本くんの打棒が期待通りの成長ぶりであり、目を見張りました。チーム全体として得点圏打率をより上げることができれば、手の付けられない驚異の打線となりそうです。投手陣もエース・阪下くんとともに中島くんや木下くんも力強さを見せ、全試合3失点以内に抑えました。この夏、一気に優勝候補に名乗り出る存在となったことは間違いありません。
その他、今大会特に兵庫の野球ファンを驚かせたのは、超進学校である姫路西と神戸の躍進です。姫路西は渡邊くんという好投手を擁し、中堅校である山崎や相生産を破って県大会まで進出すると、市尼崎に勝利して第一シードを獲得し、次戦で敗れはしたものの東洋大姫路を最後の最後まで苦しめました。一方の神戸も好投手・舩見くんを擁して同じく中堅校である御影、神港橘を破って県大会に進出し、初戦で明石商に敗れたもののこちらも最後まで粘りを見せ、僅差の接戦となりました。こういう超進学校に突如として好投手が現れるのも、兵庫野球の面白さ、奥深さの一つと言えますね。昨春の灘の県大会進出時も話題になりましたが、この超進学校2校の今後の健闘にも期待したいです。
早くも気になる夏の展望
少し気が早いですが、やはり気になるのが夏の大会です。今年の夏は一体どうなるでしょうか。今大会の結果をふまえた展望を少しだけ見ていきましょう。まずは、今大会で決定した第1・第2シードをおさらいしておきます。
第1シード | 報徳学園、西脇工、東洋大姫路、 姫路西、育英、加古川北、飾磨、 社、神戸国際大付、神戸弘陵、 明石商、明石、神戸学院大付、 東播磨、赤穂、須磨翔風 |
第2シード | 尼崎小田、武庫荘総合、三田学園、 市尼崎、甲南、三田松聖、雲雀丘学園、 篠山産、津名、八鹿、神戸、彩星工科、 市西宮、須磨学園、市川、川西緑台 |
兵庫県のシード制についてもう一度おさらいすると、シード校は2回戦からの登場となり、第1シード校は4回戦までは地理的に自校に近い球場で試合をすることができ、第2シード校とは4回戦まで顔を合わせない組み合わせとなります。また、優勝校である社と準優勝校の須磨翔風は、5回戦以降の抽選においても決勝戦まで当たらないよう振り分けられます。
前述の通り今回の春季大会では前評判の高かったチームが組み合わせでバランスよく分かれたため、第1シードは県内の強豪校が順当に入っている印象です。しかし、県大会常連校である滝川第二や神港学園、関西学院などは地区予選で敗れてシード権を獲得できなかったため、今夏はこれらのチームがノーシード爆弾としてシード校を脅かす存在となりそうです。
今夏は県内上位で実力的に団子状態となっているチームの数が例年よりも多く、どこが優勝するのか予想が非常に難しくなりそうです。高い投手力、守備力、機動力を誇るセンバツ準優勝の報徳学園が頭半分ほど抜けている感じがしますが、その後を総合力の高い社、投打に力強い須磨翔風、試合巧者の明石商、好投手を揃える神戸国際が追いかける形となり、さらに打撃力のある東洋大姫路も優勝候補に躍り出る強さを持ち、混戦の様相を呈しています。今夏の兵庫はこの6校を中心に、激戦が繰り広げられる展開となりそうです。また、神戸弘陵や神戸学院大付なども実力をつけていますので、これらの高校に喰らいつく存在として要注目です。
今年の兵庫の夏も、非常に熱くなりそうです!
継続中の「春優勝校は夏負ける」ジンクス
2018年の西兵庫を制した明石商を除き、2010年の報徳学園の春夏完全制覇以来、兵庫県では「春優勝校は夏負ける」ジンクスが13年間続いています。今年は社がこの壁にチャレンジする形となります。これは激戦の兵庫を制することが如何に困難であるかを表すデータですが、社は昨年、記念大会を除いて37年ぶりの夏兵庫連覇という偉業を達成しているため、このジンクスも打ち破ることができるのか要注目です。
おわりに
冒頭で述べた通り、今大会は社が16年ぶり3回目の春兵庫王者となりました。社は2022年夏、2023年春夏と3季連続で甲子園に出場するなど、現在の兵庫県内では必ず優勝争いに絡む存在となっており、近畿大会常連校にもなっています。昨秋に続き近畿大会出場を果たした須磨翔風、’19年秋以来となる明石商とともに、近畿大会において他県の強豪との試合で経験を積み、全国でも勝てるチームに成長し、「強い兵庫」の姿を見せてくれることを期待しています。
最後に、今年の夏の兵庫も、熱く盛り上がる大会になることを願っています。球児の皆さん、頑張ってください!
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