球春到来!
来たる3月18日、第96回選抜高校野球大会が開幕します!
開幕に先立ち、3月8日に組み合わせ抽選が行われました。今回はトーナメント表を確認するとともに、今大会における注目すべきトピックスを紹介したいと思います。どうぞ宜しくお付き合いください。
出場校おさらい
まずは今大会の出場校を一覧でおさらいしておきます。
戦力分析と展望、注目選手についてはnoteの方に投稿していますので、よければコチラをご覧ください。(僭越ながら有料記事とさせていただいてます)
高校名 | 都道府県 | 出場回数 | 備考 |
北海 | 北海道 | 3年ぶり⑭ | 秋季北海道王者 |
青森山田 | 青森 | 8年ぶり③ | 秋季東北王者 |
八戸学院光星 | 青森 | 5年ぶり⑪ | 昨夏全国ベスト8 |
学法石川 | 福島 | 33年ぶり④ | |
作新学院 | 栃木 | 2年連続⑫ | 秋季関東王者 神宮大会準優勝 |
山梨学院 | 山梨 | 3年連続⑦ | 前大会王者 |
健大高崎 | 群馬 | 2年連続⑦ | |
常総学院 | 茨城 | 3年ぶり⑪ | |
中央学院 | 千葉 | 6年ぶり② | |
関東第一 | 東京 | 8年ぶり⑦ | 秋季東京王者 |
豊川 | 愛知 | 10年ぶり② | 秋季東海王者 |
宇治山田商 | 三重 | 16年ぶり② | |
愛工大名電 | 愛知 | 12年ぶり⑩ | |
星稜 | 石川 | 2年ぶり⑯ | 秋季北信越王者 神宮大会王者 |
敦賀気比 | 福井 | 4年連続⑪ | |
航空石川 | 石川 | 4年ぶり③ | 神宮枠 |
大阪桐蔭 | 大阪 | 5年連続⑮ | 秋季近畿王者 |
京都外大西 | 京都 | 18年ぶり⑦ | |
京都国際 | 京都 | 3年ぶり② | |
耐久 | 和歌山 | 初出場 | |
報徳学園 | 兵庫 | 2年連続㉓ | 前大会準優勝 |
近江 | 滋賀 | 2年ぶり⑦ | |
広陵 | 広島 | 3年連続㉗ | 秋季中国王者 |
創志学園 | 岡山 | 7年ぶり④ | |
高知 | 高知 | 3年連続㉑ | 秋季四国王者 |
阿南光 | 徳島 | 32年ぶり② | |
熊本国府 | 熊本 | 初出場 | 秋季九州王者 |
明豊 | 大分 | 3年ぶり⑥ | |
神村学園 | 鹿児島 | 9年ぶり⑥ | 昨夏全国ベスト4 |
東海大福岡 | 福岡 | 7年ぶり③ | |
別海 | 北海道 | 初出場 | 21世紀枠 |
田辺 | 和歌山 | 76年ぶり③ | 21世紀枠 |
今大会は初出場校が3校、30年以上のブランクがある高校が3校出場し、最多出場は広陵の27回目となりました。公立校が5校、私立校が27校という顔ぶれになっています。
トーナメント表
注目のトーナメント表は、このようになりました!
なんと言っても注目は、強豪ひしめくブロックDです。昨夏選手権ベスト4の神村学園と関東王者・作新学院が初戦で相まみえ、近畿王者・大阪桐蔭や、”春の”愛工大名電、前大会準優勝の報徳学園も同居する、”死の組”となりました。かなり厳しいブロックであり、見応え十分の熾烈な争いが期待できます。
その他、1回戦では開幕試合の八戸学院光星vs関東第一や、敦賀気比vs明豊、山梨学院vs京都外大西、広陵vs高知、京都国際vs青森山田あたりが好ゲームが期待でき、非常に楽しみです。
見どころ
今大会の展望や注目選手についてはnoteの記事で語っていますので、ここでは今大会僕が気になっているジンクス(のようなもの)について記しておきたいと思います。
歴史の長い高校野球界には、様々な記録とともに生まれては消え、また生まれる数々の法則やジンクス(のようなもの)が存在します。今大会においても気になる法則・ジンクスがありますので、3つ紹介します。
①神宮大会優勝校の厳しさ
これは高校野球ファンの間ではかなり有名な話ですが、センバツが開催されるその前年秋の明治神宮大会で優勝したチームは、センバツでは優勝しにくいと言われています。事実、球史を紐解いていくと、2001年以降神宮大会で優勝したチームのうち翌春のセンバツも制した例は、2001-2002年の報徳学園と2021-2022年の大阪桐蔭の2例しかありません。なぜ神宮優勝校がセンバツで苦戦するのかについては、神宮大会が持つ特性が絡む2つの理由があると僕は考えています。
一つ目は、チームや選手個々の特徴が全国にいち早く知れ渡る、という点です。神宮大会は新チーム発足後最初の全国大会であり、翌年の高校野球の趨勢を占う大会でもありますので、全国の高校野球関係者が注目します。さらに、昨今ではインターネット中継が行われ、YouTube動画等も多数上げられるため、スカウトや偵察部隊のみならず、全国の球児たちが出場チームの試合を目にすることが可能です。神宮優勝校は当然ながらセンバツの優勝候補として名乗りを上げることになり、多くのチームからマークされ、徹底的に弱点を研究されてしまうため、センバツで苦戦してしまうのです。
二つ目は、全国の強豪校の神宮大会に対するモチベーションに差があり、真の実力が計り知れない、という点です。これは特に強豪校にあることですが、秋季地区大会で上位に勝ち進みセンバツ出場をほぼ当確させたチームの中には、その後主力選手に無理をさせず控え選手を試したり、緊張感がなくなり戦い方が変わってしまう、といったチームがしばしば見られます。また、神宮大会が行われる11月はかなり気温が低く、選手の怪我のリスクが上がる上、優勝チームにこれといった大きなメリットもないため、モチベーションの維持が難しそうです。もちろん、負けるつもりで試合をしている選手などいないと思いますが、僕のような外野の人間からすると、神宮大会に出場すること、神宮大会で優勝することに対するモチベーションにはチームごとに温度差があるように感じます。神宮大会とセンバツでは大会の規模も歴史の重みも注目度もまったく違っており、選手の大会に懸ける想いもけた違いでしょう。本気度に差がある神宮大会とセンバツでは、優勝するチームが異なることが多くなるのもある意味頷けます。
とは言え、各地区の王者が集う神宮大会で優勝することは非常に名誉のある凄いことで、優勝校が素晴らしいチームであることは言わずもがなです。
②広陵に勝ったチームが優勝する説
こちらは高校野球ファンなら気付いている方も多いのではないでしょうか。現在進行形のホットな説です。
言わずと知れた広島の強豪・広陵は昨年(2023年)、春夏連続で甲子園に出場したのですが、春は準決勝で山梨学院に敗れ、夏は3回戦で慶応に敗れました。注目すべきは、この時広陵に勝った山梨学院と慶応がいずれも優勝している点です。それだけではありません。広陵はその後新チームとなった秋季大会で中国王者となり明治神宮大会に出場したのですが、初戦で星稜に敗れ、その星稜が神宮王者となったのです。
大会 | 回戦 | 勝利校 | スコア | その後 |
95回センバツ | 準決勝 | 〇山梨学院 | 6-1広陵● | 優勝 |
105回選手権 | 3回戦 | 〇慶応 | 6-3広陵● | 優勝 |
54回神宮 | 1回戦 | 〇星稜 | 7-6広陵● | 優勝 |
2023年はこのように、なんと3つの主要な全国大会においていずれも広陵に勝ったチームが優勝するという結果になりました。偶然とはいえ、二度ならず三度も同じ結果になるなんて非常に珍しいですね。
そこでさらに僕は興味を持ち過去を遡って調べてみたところ、驚くべきデータが発覚しました。これはセンバツに限った話なのですが、広陵に勝ったチームが優勝する事例がわんさか出てきたのです。広陵は昨年まで95回のセンバツの歴史の中で26度出場し、3度の優勝、3度の準優勝を誇り、通算42勝23敗1分と驚愕の戦績を残しているのですが、この歴代の広陵を破った23チームのうち、なんと9チームが優勝、4チームが準優勝しているという事実が発覚しました。他のチームを調べたことがないので比較できないのですが、これは驚異的な数字だと思います。その歴史を、下表に示します。
年(大会) | 回戦 | 勝利校 | スコア | その後 |
1925(第2回) | 1回戦 | 〇松山商 | 4-3広陵中● | 優勝 |
1927(第4回) | 決勝 | 〇和歌山中 | 8-3広陵中● | 優勝 |
1929(第6回) | 決勝 | 〇第一神港商 | 3-1広陵中● | 優勝 |
1932(第9回) | 1回戦 | 〇明石中 | 3-0広陵中● | 準優勝 |
1935(第12回) | 決勝 | 〇岐阜商 | 5-4広陵中● | 優勝 |
1958(第30回) | 1回戦 | 〇中京商 | 3-1広陵● | 準優勝 |
1970(第42回) | 準決勝 | 〇箕島 | 3-0広陵● | 優勝 |
1980(第52回) | 準決勝 | 〇高知商 | 5-1広陵● | 優勝 |
2002(第74回) | 2回戦 | 〇報徳学園 | 5-3広陵● | 優勝 |
2010(第82回) | 準決勝 | 〇日大三 | 14-9広陵● | 準優勝 |
2013(第85回) | 2回戦 | 〇済美 | 4-3広陵● | 準優勝 |
2019(第91回) | 2回戦 | 〇東邦 | 12-2広陵● | 優勝 |
2023(第95回) | 準決勝 | 〇山梨学院 | 6-1広陵● | 優勝 |
いかがでしょうか。大正時代から令和の現代に至るまで、いかに広陵が強豪であり続け、広陵を倒すことが優勝への一種のバロメーターになっているということがよくわかるデータだと言えるのではないでしょうか。今大会も広陵が出場しますので、もし広陵に勝つチームが現れるとしたら、その後どうなるか非常に注目ですね。逆に広陵健児たちは昨年、さぞ悔しい思いをしたと思いますので、今年は俄然優勝目指して士気を高めていることでしょう。
③甲子園で大阪桐蔭に勝ったチーム、優勝できない説
こちらは昨年の大会総括でも書いたのですが、今大会も大阪桐蔭が出場しますので再度触れておきたいと思います。
全国の超一級選手が集う大阪の最強軍団、大阪桐蔭。その大阪桐蔭に甲子園で勝つことは至難の業と言えます。最後に大阪桐蔭に勝って優勝したのは、2015年(87回大会)春の敦賀気比でした。この大会では、準決勝で敦賀気比打線が爆発し、11-0で大阪桐蔭に圧勝しています。この大会以降、大阪桐蔭は前大会まで春夏合わせて10回甲子園に出場し、そのうち4回優勝しています。つまり、6回負けていることになるのですが、この2015年の敦賀気比以降、甲子園で大阪桐蔭を倒した6校は全てその後敗退しており、優勝できていません。その記録を以下に示します。
年(大会) | 回戦 | 勝利校 | スコア | その後 |
2016(88回春) | 2回戦 | 〇木更津総合 | 4-1大阪桐蔭● | 準々決勝敗退 |
2017(99回夏) | 3回戦 | 〇仙台育英 | 2-1大阪桐蔭● | 準々決勝敗退 |
2021(93回春) | 1回戦 | 〇智弁学園 | 8-6大阪桐蔭● | 準々決勝敗退 |
2021(103回夏) | 2回戦 | 〇近江 | 6-4大阪桐蔭● | 準決勝敗退 |
2022(104回夏) | 準々決勝 | 〇下関国際 | 5-4大阪桐蔭● | 準優勝 |
2023(95回春) | 準決勝 | 〇報徳学園 | 7-5大阪桐蔭● | 準優勝 |
このような結果となっています。やはり、大阪桐蔭を倒すというのは肉体的にも精神的にもかなり消耗するのでしょうか、近年、勝てたチームはその後惜しくも優勝を逃しています。ちなみに、敦賀気比よりも以前の例を挙げると、2007年春に優勝した常葉菊川(準々決勝で大阪桐蔭に勝利)まで遡ります。こう見ると、甲子園で優勝するためには大阪桐蔭と当たらないことが必要条件と考えても良さそうですね。これは、今大会においても要注目の傾向です。
ジンクスから紐解く優勝候補
ここからは完全に余興になりますが、上記①~③の傾向が今大会にも当てはまると仮定すると、優勝の行方はどうなるでしょうか。
まず、①の傾向通り神宮覇者が敗退するとなると、星稜は残念ながら優勝できず、まず脱落してしまいます。次に、ブロックCのチームは広陵でもそれ以外でも優勝のチャンスがあり、②の傾向により広陵以外のチームにとっては広陵を倒すことができれば決勝進出の可能性が高まるのですが、ブロックDで大阪桐蔭が勝ち進んできた場合、③の法則により準決勝で大阪桐蔭を倒しても優勝できなくなります。ですので、ブロックCのチームはブロックDで大阪桐蔭が敗れることを祈るしかないでしょう。逆にブロックDのチームは大阪桐蔭と同居した時点で、大阪桐蔭との直接対決によりたとえ倒したとしても③の法則により優勝の道が険しくなります。ですが、もしブロックCで広陵が勝ち進み、準決勝でその広陵を倒すことができれば、②と③の法則が相殺され、優勝のチャンスが再点灯することになります。また、大阪桐蔭が早々に敗退し、直接対決を避けることができた場合も、優勝の可能性があります。
仮に準決勝で広陵と大阪桐蔭が相まみえた場合は、大阪桐蔭が勝てば優勝の可能性大、広陵が勝てば決勝で敗れ準優勝、という事態が考えられます。
このようにジンクスが入り混じったカオスな状況と各チームの戦力から考察すると、優勝校はブロックA、Bのうちの星稜以外のどこかor大阪桐蔭になるのでは、と僕は考えます。そしてブロックA、Bの星稜以外で戦力的に優勢と考えられるチームは、関東第一と健大高崎だと思います。
ということで今大会の僕の優勝校予想は、関東第一or健大高崎or大阪桐蔭、ということにしておきます。繰り返しますが、これはあくまで①~③のジンクスがすべて当てはまれば、という仮定のもとでの予想です。そしてこれらのジンクスをもし破る高校が現れるとするなら、それは”緑のストッパー“報徳学園になると勝手に思っています。
おわりに
以上、今大会の見どころを紹介しました。あくまでセンバツをより楽しむための小ネタですので、参考程度にお楽しみいただければと思います。
それでは、今大会も素晴らしい大会になることを祈念しつつ、現地・甲子園でお会いしましょう!
選手の皆さん、頑張ってください!
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